ビバリウム

ビバリウム・パルダリウムの照明についての考察

初めてのビバリウム制作から約1ヶ月が経過しました。まだ経験も浅く知識も不十分ですが、これからビバリウムを作ってみたい方・これからヤドクガエルを飼育したい方などに少しでも役立てればと思い、ビバリウム・パルダリウムについての考察も残していきたいと思います。最初にお断りしますが、あくまでもこれらは個人的見解ですので、事実と異なる場合や別の見解がありましたら情報をお寄せ下さればありがたいです。

ビバリウム関連記事目次

順番に記事を読みたい方のために、時系列の目次を記載しておきます。

  1. 初めてのビバリウム制作
  2. ビバリウム動画と植物紹介
  3. ビバリウム・パルダリウムの照明についての考察
  4. ビバリウム植物の経過(40日目)
  5. コバルトヤドクガエル飼育開始
  6. ベントリヤドクガエル飼育開始

ビバリウム・パルダリウムの照明についての考察

ビバリウム立ち上げ後、夢にまで見たヤドクガエルの飼育を開始したのですが、ヤドクガエル飼育については次の機会に譲るとして、今回はビバリウム・パルダリウムの照明について考えてみたいと思います。
ビバリウム・パルダリウムの照明
水槽やケージの中に植栽して生物に適した環境を作る関係上、ビバリウムに照明は必須です。照明が無いと植物が枯れてしまうからです。照明の代わりに太陽光を当てるのはお勧めできません。直射日光を当てるとケージ内の温度が急上昇するなど温度コントロールが難しくなり、蒸れによって生体を弱らせてしまうことに繋がります。
ちなみに、アクアリウムも同様ですが、現在では照明はLEDが主流です。昔は「照明はメタハラ(メタルハライドランプ)・蛍光灯・LEDの3択でそれぞれ一長一短。LEDは高価で水草も育たない」と言われていましたが、現在では全く状況が異なります。高価で高温になり安定器が必要でデカくて重くて大量に電力を消費するメタハラは受注販売になってショップでの扱いも激減し、LEDが劇的に高性能になったので明るさでも電気代でも優位に立っています。あえて新規に蛍光灯を選ぶメリットもほとんどありません。昔の情報をコピペしてるだけのまとめアフィリブログでは今でも「メタハラ・蛍光灯・LEDそれぞれのメリット・デメリット」などと書いているかもしれませんが、今は「どのLEDを選択するか」が現実的な検討になります。
さて、多くの人がビバリウムの照明にアクアリウム用の薄形リフト式LEDを使用していると思います。私もそのつもりでした。ビバリウム用の照明を買うまで、以前にアクアリウムで使っていたスポット型LEDを流用することを思いつきました。それがこちら。
ビバリウム制作
ビバリウム・パルダリウムの照明
ケージ:ワイルドスカイオリジナル ビバリウム用自然通気式オールガラスケース 60*45*60cm
照明:ボルクスGrassy LaDio RS122 FW(21W)*2、RW(21W)、クリスタルエリート20 RGB+C(20W)
めちゃくちゃ明るい!植物も元気!ヤドクガエルも色鮮やか!全てにおいてこれは良い!ってことで大層気に入ったので、リフト型LEDではなく今後もスポット型LEDでいくことに決めました。

リフト型LEDとスポット型LEDの比較

海水アクアリウム、それもサンゴ水槽でしかスポット型LEDを使ってる人は見かけませんよね。有力なビバリウムの照明として、「コトブキ工芸 フラットLED」を使ってる人が多いと思います。私もそのつもりでした。私のケージは幅60cmなので、これに付ける照明と仮定して、まずスペックから両者を比較してみましょう。

リフト型LED:コトブキ工芸 フラットLEDツイン600

コトブキ工芸 フラットLEDツイン600
コトブキ工芸 フラットLEDツイン600
定価:18,900円(実売約12,000円)
消費電力(ワット):34W
照射角度:120度
全光束(ルーメン):2,550lm
色温度(ケルビン):9,200K
演色性:Ra87
チップ:白+赤+青

リフト型LED:コトブキ工芸 フラットLED600

比較例として、同じコトブキのツインじゃない方のスペックは↓

コトブキ工芸 フラットLED600
コトブキ工芸 フラットLED600
定価:10,000円(実売約6,000円)
消費電力(ワット):14W
照射角度:120度
全光束(ルーメン):1,130lm
色温度(ケルビン):9,200K
演色性:Ra87
チップ:白+赤+青

リフト型LED:アクロ TRIANGLE LED GROW600

charmオリジナルブランドのリフト型LEDのスペックは↓

アクロ TRIANGLE LED GROW600
アクロ TRIANGLE LED GROW600
実売約9,000円
消費電力(ワット):29.4W
照射角度:不明
全光束(ルーメン):3,000lm
色温度(ケルビン):7,200K
演色性:Ra93
チップ:白+赤+緑+青

リフト型LED:アクロ TRIANGLE LED BRIGHT600

アクロ TRIANGLE LED BRIGHT600
アクロ TRIANGLE LED BRIGHT600
実売約9,000円
消費電力(ワット):36.6W
照射角度:不明
全光束(ルーメン):4,200lm
色温度(ケルビン):7,300K
演色性:Ra80
チップ:白のみ

スポット型LED:グラッシー・レディオ

Grassy LeDio RX122⚡ Fresh/フレッシュ
Grassy LeDio RX122⚡
定価:オープン(実売約17,000円)
消費電力(ワット):23W
照射角度:60度
全光束(ルーメン):28,930lm
色温度(ケルビン):9,000K
演色性:Ra95
チップ:UV+Violet+Blue+Cyan+CoolWhite+NeutralWhite+WarmWhite

スポット型LED:クリスタルエリート

クリスタルエリート20 水草育成[RGB+C]
クリスタルエリート20 水草育成
定価:オープン(実売約9,000円)
消費電力(ワット):20W
照射角度:80度
全光束(ルーメン):不明
色温度(ケルビン):6,500K
演色性:Ra95
チップ:White+Green+Cyan+Blue+Hyper Red

価格

順番に検証していきましょう。まずは価格です。そりゃ安い方が嬉しいに決まっていますよね。ちなみに、リフト型LEDはこのまま使えます(アーチスタンドが乗せられない水槽でアームが必要な場合は別です)が、スポット型LEDは本体に加えてE26口金のソケットが必要です。クリップ型で安い物で1,000~1,500円くらいしますので、これも購入する必要があります。比べてみると、グラッシー・レディオが突出して高額です。

消費電力

照明の明るさはW(ワット)で考えがちですが、W(ワット)はあくまでも消費電力の単位なので、明るさの目安は後述の全光束で考えるべきとも言えます。もちろん、消費電力は電気代に影響するので、数値が多いほど電気代は高くなります。とはいえ、LEDの消費電力は相当低いですが。メタハラだと150Wくらいありますからね。

照射角度

照明が照らす角度を表します。120度は全体を万遍なく照らすことを示し、60度は特定の場所に絞って照らしていることを示します。角度が狭いとケージ内に暗くなる場所ができてしまう反面、飼育者が眩しくないという長所もあります。

全光束(ルーメン)

光源が全ての方向に放出する光の量を全光束と言い、一般的にこの数値が大きいと「明るい光源」と言えます(人間が明るく感じる「輝度」はまた別です)。比較してみると、スポット型LEDの数値は桁違いの数値です。「クリスタルエリート」は公式サイトにも全光束の数値は載っていませんが、眩しくて直視できないくらいの光量です。

色温度(ケルビン)

光の色を表すための尺度。アクアリウムでは太陽光(デーライト)と同じ色温度では黄色っぽく水草がくすんで見えるので、水がすっきり澄んで見える寒色系が好まれる傾向にあります。私は海水水槽で使っていた青白い「Grassy LeDio RS122 Reef White/リーフホワイト(10,000K)」も混ぜて使っていますが、肉眼上では違和感はありません。

↑ 赤・黄色っぽい暖色系
3,000K(白熱電球、夕焼け)
5,500K(昼間の太陽光、昼白色蛍光灯)
6,500K(昼光色蛍光灯)
7,000K(曇り空、海水アクアリウムの浅場サンゴ用照明)
10,000K~15,000K(海水アクアリウムの深場サンゴ用照明)
↓ 青っぽい寒色系

演色性

色をどの程度再現しているかを示す指標で、平均演色評価数(Ra)100が最も高い再現性、0では彩度が無い灰色ということを示します。アクアリウム用ではない一般的なLED照明はRa65~75程度と言われています。ざっくり簡単にいえば、数値が高いほど「鮮やかに見える」・数値が低いほど「あまり色が分からない」と言ってもいいでしょう。私はこの数値も重視しています。なぜかと言えば、熱帯雨林を再現したビバリウムの楽しみは、色鮮やかなヤドクガエルや熱帯性植物を楽しむことだからです。

チップ

同じように見える白色LEDでも、実はチップによって演色性は大きく異なります。白単色のLEDと、色の三原色RGB(赤緑青)を混ぜ合わして白色に近づけたLEDでは、後者の方が演色性に大きく優れます。また、植物が育つためには青色や赤色の波長が必要となるので、白単色のLEDでは植物が調子を崩す場合があります。

ビバリウムにスポット型LEDを使う選択肢

ビバリウム・パルダリウムの照明
私は幅60cmケージに、20Wスポット型LEDを3基(現在は4基)使用しています。めちゃくちゃ明るいです。明るすぎるくらい明るいです。
コバルトヤドクガエル
どれくらい明るいのかというと、ケージの地表にいるヤドクガエルを撮影するとき、感度ISO100 シャッタースピード1/100秒 絞りF5 で撮影可能です。ここまで明るくする必要はないかもしれませんが、以下の変化を見て下さい。
2018年5月15日
ビバリウム・パルダリウムの照明
2018年6月6日
ビバリウム・パルダリウムの照明
ネオレゲリア”ファイヤーボール”が赤く美しく染まっています。ホームセンターなどでも安く手に入る普及種ですが、捨てたものではないでしょ?タンクブロメリアは豊富な光を浴びると、より鮮やかな色彩を見せてくれるのです。
これでも自然の太陽光には及びません(自然界の日向では照度10万ルクスと言われています)が、潤沢な光を与えることで植物が加速度的に成長します。「ブロメリアはビバリウムに合わない」「すぐに枯れてしまうから植物は定期的に植え替えている」との意見もありますが、それは単純に光量が足りていないのが原因の1つだと考えられないでしょうか。事実、このタンクの植物は(環境に合わなかったごく一部を除いて)絶好調です。「赤系のブロメリアは人工照明下だと退色する」が通例ですが、ブロメリアは衰退・退色するどころかどれも成長して美しい模様を見せてくれています(特にエクメアは大きく成長し、このまま巨大化すればどうしようかと心配になる程です)。コケや日陰性植物にも光が必要です。いくら日陰を好むとはいえ、通常の室内灯レベルでは植物は生きていけないのです。逆にビバリウムにアグラオネマやシダ植物のようなあまり光量を必要としない植物しか入れない場合は、そこまで光量の大きくないリフト型LEDでも充分だと言えるでしょう。

白色LEDの光の質

「光スペクトル」という言葉はご存じですか?

通常は、様々な波長の可視光線が混ざった状態であり、この場合、光は白に近い色に見える。プリズムなどを用いて、可視光線をその波長によって分離してみると、それぞれの波長の可視光線が、ヒトの目には異なった色を持った光として認識されることがわかる。各波長の可視光線の色は、日本語では波長の短い側から順に、紫、青紫、青、青緑、緑、黄緑、黄、黄赤(橙)、赤で、俗に七色といわれるが、これは連続的な移り変わりであり、文化によって分類の仕方は異なる(虹の色数を参照のこと)。波長ごとに色が順に移り変わること、あるいはその色の並ぶ様を、スペクトルと呼ぶ。
可視光線
(引用)wikipedia:可視光線

海水アクアリウムで使われる照明には、よく「フルスペ(フルスペクトル)」という単語が用いられます。これは色の波長を紫色から赤色まで全て含んでいるという意味です。植物の育成には、光合成に有効な波長(青~青緑色・400~500nm)と、生理的に有効な波長(橙~赤色・600~700nm)の2つが必要と言われています。だからこそ、植物が重要なビバリウムには白単色のLEDはおすすめできません。例えば90~120cm大型水槽をベアタンクにして大型肉食魚を飼うような場合は、白単色のLED灯光器が安くてコスパ良いですが、水草を含む好日性植物を育てたい・色鮮やかな生体を見て楽しみたい、という場合は白以外に青・赤波長のチップを含むLEDを選択することを強くお勧めします(赤と青チップのみで構成されたLEDは光合成に適していますが、照射によって紫色に染まるので当然のことながら演色性は非常に悪いです)。

スポット型LEDまとめ

結論として今までの長い長い話をまとめましょう。高さのあるケージで好日性植物を育てたい場合は、高価ですが、幅広い波長を含んだ高演色性スポット型LEDを複数設置することをお勧めしたいと思います。ただし、4基設置すると単純計算で約80,000円。余程金銭的に余裕が無いと厳しい金額ですね。そこで新たな選択肢として、ノーブランドのスポット型LEDも試してみたいと思います。中華製の安価なアクアリウム用LEDは、今までは白単色のチップしか搭載していませんでしたが、最近は光合成を考慮して赤・青・UVのチップを組み込んだ商品も現れました。無論、演色性と耐久性は格段に劣ることが予想されますが、約1/3の価格で出力20Wのスポット型LEDが購入できるので、試してみる価値はあるでしょう。現在制作中のビバリウムケージ(幅30*奥行30*高さ45cm)には中華製スポット型LEDを設置予定なので、数か月後には結果を報告できると思います。分光放射照度計でスペクトルを測ってみたいですが、最低でも10万円はするのでとても個人レベルで手を出せる代物ではないようですね!
パルダリウムケージプロPCP3045



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